登り窯について
中平窯ではガス窯、登り窯を作品ごとに使い分けながら焼成しており、
登り窯は伝統的な連房式登り窯を使っています。
登り窯はいくつかの部屋に分かれており、下の部屋から順番に焼き上げていくため下の部屋が目標温度に達するころには上の部屋が十分に温まっています。
また、部屋の中を炎が回るように設計されているため、穴窯と比べると均一に温度が上がりやすい窯です。
この様式の窯は時代とともに改良されながら、400年前の技術を今に伝えています。
中平窯の登り窯と江戸時代に稼働していた瓶焼窯・瀬上窯との大きな違いは、中平窯の登り窯には“煙突”と“ロストル”が備わっていることです。
このことにより、空気の流れや炎の質などを調整しやすくなっています。
小代焼では1250℃~1300℃という高温で作品を焼成します。
同じ土、同じ釉薬を使っても窯のどの位置に作品を置いたかやその時の窯の雰囲気によって作品の表情が変わります。
特に小代焼の特徴である藁灰釉は登り窯で焼成した際の変化が大きく、コントロールが難しい反面、自然な表情が作品に表れることが大きな魅力です。
今の時代、決して量産に向いた方法ではありませんが、薪で焼くことで炎の力や土の味がより強く作品に表れると思っております。
作品を通して小代焼の歴史や技術、手作りならではの温かみを感じていただければ幸いです。